勉強計画が3日で崩れる3つの理由
計画が崩れる原因は、ほとんどが次の3つのどれかです。
- 量が多すぎる。やる気のある日の自分を基準に組んでいるので、普通の日にはこなせない。
- 順番が志望校とずれている。「苦手だから」「みんなやっているから」で選んでいて、志望校の配点から逆算されていない。
- 直す仕組みがない。遅れた時にどうするかが決まっていないので、遅れがたまって計画ごと捨てることになる。
1と2は「作り方」の問題、3は「直し方」の問題です。以下の5ステップのうち、Step1〜4が作り方、Step5が直し方にあたります。受験の結果を分けるのは、実はStep5の方です。
Step1:志望校の配点と出題傾向を調べる(東大文一の例)
最初にやるのは、勉強ではなく志望校の入試を調べることです。共通テストと二次(個別試験)の比率、科目ごとの配点、出題の形式。これがわからないまま立てた計画は、どれだけ頑張っても的を外します。
東大 文科一類の配点
| 区分 | 科目 | 配点 |
|---|---|---|
| 共通テスト 1000点満点 → 110点に換算 | 国語 | 200 |
| 数学(Ⅰ・A/Ⅱ・B・C) | 200 | |
| 英語(リーディング140・リスニング60) | 200 | |
| 地理歴史・公民(2科目) | 200 | |
| 理科(基礎2科目) | 100 | |
| 情報Ⅰ | 100 | |
| 二次試験 合計 440点 | 外国語(英語) | 120 |
| 国語 | 120 | |
| 地理歴史(2科目) | 120 | |
| 数学 | 80 |
※2027年度入試の情報(河合塾 Kei-Net・ベネッセ マナビジョン掲載の入試科目)をもとに作成。最新の内容は必ず東京大学の募集要項で確認してください。
合否を決める550点のうち、8割が二次試験です。これが計画の出発点になります。
配点から、計画の方針が決まる
東大は二次の比率が高いので、私は共通テストの対策を年明けからにしていました。共通テストには第1段階選抜(いわゆる足切り。文科一類は募集人員の約2.5倍)がありますが、足切りの点数自体はそれほど高くありません。それでも合格を確実にするために、目標は9割に置いていました(河合塾が示す2027年度のボーダーは得点率86%)。
ここで大事なのは、二次の勉強をしっかりやっていれば、共通テストの中身自体は十分に取れるということです。二次の方がはるかに難しいからです。だから年明けからの共通テスト対策は、新しい知識を詰め込む期間ではなく、形式に慣れ、時間配分と解く順番を決める期間になります。
二次試験は「処理速度」の勝負
東大の二次は問題が難しいうえに、国語以外は問題数も多い。知識があっても、時間内に解き切れなければ点になりません。科目ごとに、伸ばすべき力がはっきりしています。
| 科目 | 問われる力 | 計画に入れること |
|---|---|---|
| 英語 | リスニング・ライティング・リーディングのすべて | どこで点を取り、どこで逃げるかを決める。全部を満点狙いにしない |
| 数学 | 解き方の引き出しの多さ | 典型問題の解法を「見た瞬間に出る」まで反復する |
| 国語 | 要約力 | 本文の要点を短くまとめる練習を、毎日の計画に組み込む |
| 地歴 | 知識を論述にまとめる力 | 知識の暗記と、時間を計った論述演習をセットで回す |
ほかの大学を目指す人へ
手順は同じです。①共通テストと二次の比率、②科目ごとの配点、③出題形式(記述かマークか、問題量はどうか)の3つを調べ、配点の大きい科目・自分が伸びしろのある科目から時間を配分します。共通テストの比率が高い大学なら、共通テスト対策を始める時期は早くなります。
Step2:今の現在地を測る
次に、志望校で求められる力と、今の自分との差を測ります。材料は模試の結果か、志望校の過去問1年分です。科目ごと・分野ごとに「取れている」「取れていない」を分けて書き出します。
ここで注意してほしいのが、公立高校の場合、学校の履修が受験に追いついていないことが多いという点です。特に数学や理科、地歴は、高3の途中で範囲がやっと終わることも珍しくありません。その時点の模試の点数だけを見て「この科目は無理だ」と判断するのは早すぎます。
私は、まだ習っていない範囲があることと、受験直前にもう一段伸びることを見込んだうえで、今の差を判断するようにしています。現在地を正しく測るとは、点数をそのまま受け取ることではなく、「なぜその点数なのか」を分けて見ることです。
模試の結果の分け方は、1本目のコラム「塾に通っても成績が上がらない高校生へ」の原因3でも詳しく書いています。
Step3:入試までに「終わらせる教材」を決める
差がわかったら、それを埋める教材を決めます。ポイントは教材を増やさないことです。不安になるとつい新しい参考書に手を出したくなりますが、途中で乗り換えるたびに、それまでの時間が半分無駄になります。
- 科目ごとに「入試までに終わらせる教材」を決め、何周するかまで決める
- 教材は「基礎 → 標準 → 志望校の過去問」の順に並べる
- 途中で追加するのは、模試の分析で必要とわかった時だけ
Step4:年間 → 月 → 週 → 今日に割る
終わらせる教材と量が決まったら、それを入試日から逆算して割っていきます。東大文一志望の高3生なら、たとえば次のような流れになります。
- 4月〜夏休み前全科目の基礎を固めつつ、二次型の問題に慣れ始める。学校で未習の範囲は、先取りできる科目から進める。
- 夏休み二次の演習量を一気に増やす期間。苦手分野を集中的につぶす。
- 9月〜12月過去問演習を中心に。時間を計って解き、処理速度を上げる。この時期も二次の勉強が中心。
- 1月(共通テストまで)共通テストの形式に慣れ、時間配分と解く順番を決める。
- 共通テスト後〜二次本番二次の過去問に戻り、本番と同じ時間割で仕上げる。
年間の流れが決まったら、月ごとに「何を、どこまで」を決め、週に割り、最後に1日に割ります。週の計画を作る時のコツは2つです。
- 1日の量は「普通の日」にこなせる量で決める。やる気のある日を基準にしない。
- 週のうち1日は予備日にする。6日分の量で組み、遅れが出たらこの日で吸収する。
Step5:崩れた時の立て直しルールを先に決める
どれだけ丁寧に作っても、計画は必ず崩れます。だから崩れる前に、崩れた時のルールを決めておくことが一番大切です。私が自分の受験でも、生徒の指導でも使っているルールはこうです。
- ルール1その日の遅れは、次の日に取り返す。
- ルール2次の日で取り返すのが難しい量なら、その週のうちで取り返せる分は取り返す(予備日を使う)。
- ルール3それでも取り返せない分は、翌週の計画そのものを見直す。優先順位の低いものを後ろに回し、配点の大きい科目を守る。
- 注意調子がいい日でも、決めた1日の量を超えてやりすぎない。
4つ目は意外に思われるかもしれません。でも、調子のいい日に先の分まで進めると、翌日以降の量が狂い、結局「決めた量をこなす」というリズムそのものが壊れます。計画を守るうえで一番大事なのは、1日でできる量、決めた量を壊さないことです。
それでもまだやりたい日は、計画の外にある、息抜きになる勉強をします。文系なら、共通テストで使う理科基礎のような科目がちょうどいい。計画を崩さずに、余った力を無駄にしない方法です。
塾長より
地方から塾なしで東大を目指したとき、いちばん大変だったのは勉強そのものより、実力を測り、過去問を分析し、毎日の計画に落として、崩れたら直す作業でした。計画は「作ること」より「直し続けること」の方がずっと難しい。だからこそ、直すルールを最初に決めておいてください。
計画表の記入例
週の計画表は、次のような形で十分です。ポイントは、「予定」と「実績」を並べて書くこと。ずれが見えるので、Step5のルールで直す時の判断材料になります。
| 曜日 | 科目 | 教材・範囲(予定) | 目安 | 実績 | メモ |
|---|---|---|---|---|---|
| 月 | 英語 | 長文問題集 No.11〜12 | 60分 | ✓ 完了 | 設問4で時間超過 |
| 月 | 数学 | 標準問題集 p.40〜45 | 60分 | p.40〜43まで | 残り2ページ → 火曜へ |
| 火 | 数学 | p.44〜45(月曜の残り)+ p.46〜49 | 80分 | ✓ 完了 | ルール1で回収 |
| 火 | 国語 | 現代文 要約練習 2題 | 40分 | ✓ 完了 | 100字要約が長くなりがち |
| 水〜土 | (同じ形で続ける) | ||||
| 日 | 予備日 | 今週の遅れ・解き直し | — | 遅れがなければ休むか、計画外の理科基礎 | 来週の計画を見直す |
※教材名・ページは記入の例です。
学年別:いつから、何をするか
| 学年 | 計画の重点 |
|---|---|
| 高1 | 志望校を仮でいいので決め、配点を調べておく。学校の授業の復習と、英語・数学の基礎を切らさない。 |
| 高2 | 受験勉強のスタートに最適な時期。Step1〜5をひと通り作り、英語・数学の基礎を高2のうちに固める。 |
| 高3 | Step4の年間の流れに沿って、二次(個別試験)中心で進める。学校の未習範囲は、入試日から逆算して先取りする。 |
| 既卒 | 前年の結果から「どこで何点足りなかったか」を分析し、Step2から作り直す。使う時間が多い分、予備日と見直しのルールを特に厳しく。 |
よくある質問
部活がある日は、勉強計画をどう立てればいいですか?
平日を「部活の日の量」で組み、余裕のある日は増やすのではなく予備日として扱います。1日の量を曜日ごとに変えて、実際にこなせる量で固定するのが崩れないコツです。
1日に何時間勉強すればいいですか?
時間より先に、志望校から逆算した「入試までに終わらせる量」を決め、残りの週数で割って1日の量を出します。時間はその量をこなすための目安です。量が時間に収まらない場合は、時間を増やすより先に優先順位で削ります。
計画どおりにいかなかった日は、どうすればいいですか?
その日の遅れは翌日に取り返すのが基本です。翌日で取り返せない量なら、その週のうちで取り返せる分を取り返し、それでも難しければ翌週の計画を見直します。決めた1日の量そのものは壊さないようにします。
保護者の方へ
お子さんの計画に細かく口を出すより、「計画が崩れた時に、誰が・いつ直すのか」を決めておく方が効果があります。本人が自分で週1回見直すのか、塾や学校の先生に相談するのか。それが決まっていないと、遅れは本人の中で抱え込まれ、気づいた時には計画ごと止まっています。
「今週の計画、どこまで進んだ?」と予定と実績を一緒に確認するだけでも、遅れに早く気づけます。
まとめ
- Step1:志望校の配点と出題傾向を調べる(東大文一なら二次が8割)
- Step2:今の現在地を測る(未習範囲と直前の伸びも見込む)
- Step3:入試までに終わらせる教材を決め、増やさない
- Step4:年間 → 月 → 週 → 今日に割る(1日の量は普通の日基準、週1日は予備日)
- Step5:崩れた時のルールを先に決める(翌日 → 週内 → 翌週の見直し、やりすぎない)
計画は、作った日がゴールではありません。毎日こなして、崩れたら直して、を入試の日まで続けることがゴールです。一人で回すのが大変なら、「直す」役割を誰かに任せてしまうのも立派な戦略です。
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