成績が上がらないのは、授業の外側で起きていることが多い
高校生の勉強時間のうち、塾の授業が占めるのは一部です。週に数コマ授業を受けても、成績を決めるのは残りの自習時間に何をしているかです。
授業は「わかる」を増やします。でも、模試の点数になるのは「解ける」ようになった分だけです。わかった内容を、自分の手で、何度も、正しい順番で解き直して初めて点数に変わります。この「わかる」から「解ける」への部分は、多くの場合、授業時間の外で起きています。
ですから、半年通っても成績が動かない時は、授業の質を疑う前に、授業以外の時間が計画され、見られ、直されているかを確認する方が近道です。以下の5つは、その確認ポイントです。
原因1:志望校から逆算した「いつまでに何を」が決まっていない
「英語を頑張る」「数学の苦手をなくす」は目標であって、計画ではありません。計画とは、志望校の配点と出題傾向から逆算して、今月・今週・今日やることが決まっている状態です。
たとえば同じ「英語」でも、長文の比重が大きい大学と、英作文の配点が高い大学では、高2の今やるべきことが変わります。志望校が決まっているのに、やっていることが他の生徒と同じなら、逆算がされていない可能性があります。
チェックポイント(本人も保護者も)
- 「今月、何を終わらせる予定?」に、具体的な教材名とページ・範囲で答えられない
- 志望校の配点(共通テストと二次の比率、科目ごとの点数)を知らない
- 塾の宿題以外に、自習で何をするかが決まっていない
見直し方
まず志望校の配点を紙に書き出し、「どの科目で何点取るか」を仮決めします。そこから「入試までに終わらせる教材」を決め、残りの週数で割ります。これだけで、今週やるべき量がはっきりします。
原因2:授業を受けた量で満足し、自習の中身が管理されていない
「毎日塾に行っている」「授業は全部出ている」。これは安心材料に見えますが、成績とは直接つながりません。大事なのは、授業のあとに何を・どれだけ・どのやり方で復習したかです。
よくあるのが、授業ノートを見返して「わかった気になる」復習です。何も見ずに解き直す、間違えた問題に印をつけて数日後にもう一度解く、といった「解ける」に変える作業が抜けていると、授業を受けた量だけが増えていきます。
チェックポイント(本人も保護者も)
- 勉強時間は長いのに、何をしたかを「塾の復習」としか言えない
- 同じ単元のテストで、同じような問題を繰り返し間違えている
- 自習の中身を、塾の先生も誰も見ていない
見直し方
1日の終わりに「今日やった教材・範囲・解き直した問題数」を一行で残すだけでも変わります。大事なのは、その記録を誰かが見て、翌日の内容に反映することです。記録するだけで誰も見ないと、数日で途切れてしまいます。
原因3:模試の結果を点数だけで見て、分析していない
模試が返ってきて、偏差値と判定を見て、終わり。これはとてももったいない使い方です。模試は、今の計画が合っているかを確かめるための材料です。
見るべきは合計点ではなく、「どの大問で、なぜ落としたか」です。知識が足りなかったのか、時間が足りなかったのか、解き方は知っていたのにミスをしたのか。原因によって、次の1か月でやることはまったく変わります。
チェックポイント(本人も保護者も)
- 模試の復習(解き直し)をしていない、またはいつの間にか終わっている
- 「次は頑張る」以外に、模試のあとで計画が変わったことがない
- どの分野が弱いのか、はっきり言えない
見直し方
模試ごとに、落とした問題を「知識不足」「時間不足」「ミス」の3つに分けて数えてみてください。一番多いものが、次の1か月で最優先に直すところです。この分類を塾で一緒にやってもらえるかも、確認する価値があります。
原因4:計画が一度作られたきり、修正されていない
最初に立派な年間計画を作っても、高校生の毎日は計画どおりには進みません。部活、学校行事、体調、定期テスト。遅れは必ず出ます。問題は遅れることではなく、遅れた時に計画が直されないことです。
遅れを「週末に取り返そう」と先送りすると、週末には別の予定が入り、遅れはさらに積み上がります。やがて計画と現実がかけ離れ、本人も計画を見なくなります。「計画はあるのに、誰も見ていない」状態です。
チェックポイント(本人も保護者も)
- 最初にもらった計画表を、もう見ていない
- 遅れが出た時に、何を後回しにするかを決める人がいない
- 「今週は遅れたから来週頑張る」が何週も続いている
見直し方
遅れた時は、足りない分を上乗せするのではなく、優先順位で削るのが基本です。「志望校の配点が高いもの」「今やらないと後で困る基礎」を残し、それ以外を後ろに回します。週に一度、この組み直しをする時間を決めておくと、計画が生き返ります。
塾長より
私自身、地方から塾なしで東大を目指したとき、いちばん大変だったのは勉強そのものより、実力を測り、過去問を分析し、毎日の計画に落として、崩れたら直す作業でした。計画は「作ること」より「直し続けること」の方がずっと難しい。だからこそ、ここを一人で抱えないでほしいと思っています。
原因5:相談できるのが週1回で、つまずきが放置されている
月曜にわからない問題で止まり、先生に聞けるのは次の授業の土曜日。この5日間、その単元は止まったままです。さらに、その単元を前提にした次の内容も進みません。
成績が伸びる生徒と伸びない生徒の差は、能力よりもつまずいてから解消されるまでの時間に出ることが多いと感じています。つまずきが週単位で放置されると、「わからないところを飛ばす」癖がつき、それが模試の点数に表れます。
チェックポイント(本人も保護者も)
- わからない問題があった時、誰に・いつ聞けるのかが決まっていない
- 質問をためこんで、結局聞かずに終わっている
- わからないところは、飛ばして先に進んでいる
見直し方
今の塾に「授業のない日に質問できる方法」があるか確認してください。チャットや自習室での質問対応があれば、遠慮せず使いましょう(保護者の方は、使ってよいと背中を押してあげてください)。質問のハードルが下がるだけで、止まる時間は大きく短くなります。
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5つのサイン早見表
当てはまる数が多いほど、授業の質よりも「計画・管理・修正」の側に原因がある可能性が高いと考えられます。
| 確認すること | 当てはまると… |
|---|---|
| 今月やる教材と範囲を、本人が具体的に言える | 言えないなら 原因1(逆算不足) |
| 自習の中身を、誰かが毎日見ている | 見ていないなら 原因2(自習の管理不足) |
| 模試のあと、計画が変わったことがある | ないなら 原因3(模試の分析不足) |
| 遅れた時に、何を後回しにするか決める人がいる | いないなら 原因4(計画修正の不足) |
| わからない問題を、その日のうちに聞ける | 聞けないなら 原因5(相談頻度の不足) |
塾を辞める・変える前に、今の塾で確認したいこと
当てはまるものがあっても、「塾は意味ない」とすぐに辞める必要はありません。まずは今の塾に、次の3つを聞いてみてください。
- 志望校から逆算した計画を、一緒に作ってもらえるか(配点・出題傾向を踏まえて)
- 授業のない日の自習や進み具合を、誰かが見てくれるか
- 遅れた時や模試のあとに、計画を直してもらえるか
この3つに対応してもらえるなら、今の塾の使い方を変えるだけで動き出す可能性があります。逆に、どれも難しいと言われた場合は、授業とは別に、計画と毎日の管理を担う人を用意することを考えてもよいタイミングです。
いずれにしても、判断の前に第三者の目で今の計画を一度見てもらうのは有効です。今のやり方のどこが合っていて、どこを直せばよいかがわかれば、塾を続けるか変えるかも落ち着いて決められます。
まとめ
塾に通っても成績が上がらない時、原因は授業の質よりも、授業の外側にあることが少なくありません。
- 志望校から逆算して、今月・今週・今日やることが決まっているか
- 自習の中身が、毎日誰かに見られているか
- 模試の結果が、次の計画に反映されているか
- 遅れた時に、計画が直されているか
- つまずきが、その日のうちに解消されているか
半年変わらないなら、努力が足りないのではなく、努力の向け先がずれているのかもしれません。向け先さえ合えば、成績は動き出します。
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