そもそも模試の判定は何を表しているか
模試の判定は、その模試を同じ志望校で受けた人の中で、今どのあたりにいるかをもとに、合格の可能性を区分したものです。A判定は合格可能性が高く(80%以上とされることが多い)、E判定はもっとも低い区分です。基準は模試ごとに違うので、正確な意味は成績表の判定基準の欄で確認してください。
ここで知っておいてほしいのは、判定には次のような限界があることです。
- 「今」の位置でしかない:入試本番までの伸びは含まれていません。特に現役生は、学校で未習の範囲が残っている時期の判定は低く出やすくなります。
- 模試の形式と、志望校の入試形式が違う:マーク式の模試と記述式の二次試験では、求められる力が違います。共通テスト型の模試の判定だけで二次試験の力は測れません。
- 受けている人の層で変わる:同じ点数でも、受験者の層が違う模試では判定が変わります。
つまり判定は「このままのやり方を続けたら、どうなりそうか」の目安です。やり方を変えれば、判定も変わります。
判定の文字より先に見る3つの数字
成績表を受け取ったら、判定の前に次の3つを確認してください。
① 志望校の配点に合わせた、科目ごとの点数
模試の合計点は、すべての科目を同じ重みで足したものです。でも、志望校の入試は科目ごとに配点が違います。たとえば英語の配点が大きい大学なら、英語の1点は他の科目の1点より重い。志望校の配点で計算し直すと、思っていたより近い、あるいは遠いことがわかります。
② 大問ごとの得点(どこで落としたか)
同じ50点でも、「全大問で少しずつ落とした50点」と「1つの大問がほぼ0点の50点」では、直し方がまったく違います。後者なら、その分野を集中して直すだけで大きく上がる可能性があります。
③ 前回の模試からの変化
判定が同じEでも、前回より志望校の配点での得点が上がっているなら、やり方は合っています。判定より、自分の点数の推移を見てください。上がっていないなら、量ではなく中身を見直すサインです。
逆転しやすいケース・厳しいケース
E判定から合格する人は実際にいます。ただし、どんな場合でも逆転できるわけではありません。正直に整理します。
| 逆転しやすいケース | 厳しくなりやすいケース |
|---|---|
| 失点が特定の分野・大問に集中している | 全科目・全分野でまんべんなく点が足りない |
| 学校で未習の範囲が失点の多くを占めている | 既習範囲の基礎問題で失点している |
| 志望校の配点で計算すると、差が小さくなる | 志望校で配点の大きい科目が一番弱い |
| 入試まで半年以上あり、計画を組み直す時間がある | 残り時間が少なく、勉強のやり方が前回と同じ |
右側に当てはまっても、すぐにあきらめる必要はありません。ただ、今のやり方のまま量を増やしても判定は変わりにくいので、計画そのものを見直す必要があります。
次の模試までの1か月でやること
- 1週目:失点を3つに分ける間違えた問題を「知識不足(そもそも知らなかった)」「時間不足(解けたはずなのに時間切れ)」「ミス(わかっていたのに間違えた)」に分けて数えます。
- 1週目:一番多いものを、最優先にする知識不足が多いなら基礎の穴埋め、時間不足なら時間を測った演習、ミスなら見直しの手順づくり。直す対象を1つに絞ります。
- 2〜3週目:計画に組み込んで、毎日やる「模試の復習」を週末にまとめてやるのではなく、毎日の計画に少しずつ入れます。解き直しは、何も見ずに解けるまで繰り返します。
- 4週目:同じ問題をもう一度解く模試の問題を、時間を測ってもう一度解きます。知識不足で落とした問題が解ければ、その分は次の模試で取れる点です。
失点の分け方は、「塾に通っても成績が上がらない高校生へ」の原因3でも解説しています。模試は「受けて終わり」にすると、ただの判定表です。次の計画を直す材料として使った時に、初めて意味が出ます。
塾長より
私が受験生だった時も、模試の判定に一喜一憂した時期がありました。判定に振り回されなくなったのは、成績表を「次に何を直すかのリスト」として読むようになってからです。悪い判定ほど、直すところがはっきり書いてあります。
志望校を下げるか迷った時の考え方
E判定が続くと、「志望校を下げた方がいいのでは」と考えるのは自然なことです。判断する前に、次の順番で考えてみてください。
- 志望校の配点で、あと何点必要かを出す
- その点数を、どの科目の・どの分野で取るかを決める
- 残りの時間で、その分野を本当に直せるかを計画に落としてみる
計画に落としてみて、毎日の量が現実的なら、志望校を下げる必要はありません。どうしても量が収まらない時に初めて、志望校や受験方式を見直します。判定の文字だけで決めるのではなく、計画で決める。これが後悔しない判断の仕方です。
保護者の方へ:成績表が返ってきた日の声かけ
悪い判定が出た日、一番落ち込んでいるのは本人です。その日に「この判定で大丈夫なの?」と聞くと、多くの場合、話はそこで終わってしまいます。
おすすめは、判定には触れず「どこが一番惜しかった?」と聞くことです。本人が「ここは知っていたのに」と言える分野があれば、そこが次の1か月で直せる場所です。判定の評価は第三者に任せ、保護者の方は次に向けて話せる空気をつくる役に回ってください。
よくある質問
E判定から合格する人は本当にいますか?
います。ただし多くは、失点が特定の分野に集中していた、学校の未習範囲が多かった、模試の形式と志望校の入試形式が違った、などの理由がある場合です。自分がどれに当てはまるかを、成績表の大問別の得点から確認してください。
共通テスト模試と記述模試、どちらの判定を信じればいいですか?
志望校の入試の形に近い方を重く見てください。共通テストの比率が大きい大学なら共通テスト模試、二次試験の比率が大きい大学なら記述模試や、その大学に合わせた模試が参考になります。
模試の復習はどこまでやればいいですか?
全問を完璧にするより、「知識不足で落とした問題」と「ミスで落とした問題」を優先して、何も見ずに解けるまで解き直してください。難しすぎて合格者もほとんど解けていない問題は、後回しで構いません。
まとめ
- 模試の判定は「今のやり方を続けた場合の目安」。やり方を変えれば判定も変わる
- 判定の文字より、志望校の配点での点数・大問別の失点・前回からの変化を見る
- 失点を知識・時間・ミスに分け、一番多いものを1か月で直す
- 志望校を下げるかは、判定ではなく計画に落としてみて決める
E判定は、あなたの可能性を決める文字ではありません。次に何を直せばいいかを教えてくれる、一番わかりやすい材料です。
その成績表から、
次に直すところを見つけませんか。
東大卒の塾長が、志望校の配点・出題傾向と今の成績から、必要な対策と今やるべきこと・やらなくてよいことを1枚の分析シートにまとめます。模試の成績表をそのまま送っていただいて大丈夫です。
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